ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる/梅田望夫/ちくま新書

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)


googleamazonを例に取り、楽観主義を貫いてwebの今後を語った話題の書。著者がはてなの偉い人だからかどうか知らないけど、はてな内だけで言及数が1000件超えてる……感想としましては、新技術というものについて前向きな姿勢を崩さず、「プロジェクトX」みたいなサクセスストーリーを読んでいるようで、面白かったです。

  • 物理的なITインフラの構築ではなく、それによって起こる「情報そのものに関する革命的大変化」
    • この本の骨子。前者をmicrosoftや日本ではyahooなどが支えていたとしたら、後者はgoogleamazon。ITバブルが弾けたからこそ、見えてくるものがある?
  • グーグルの連中の際立つ特徴は、インターネットを擬人化して話す喋り方ではないかな。こうなりたいという意志をインターネット自信が持っている。自分たちはその意志に導かれて技術開発している
    • ここで虹裏を思い出す私の脳も大概ですね。
  • ネットの「こちら側」と「あちら側」
    • を比べて、googleは「あちら側」で出来ることは全て「あちら側」でやろうとしているという話なんだけど、そう考えるとPicasaとかデスクトップ検索とかって、「あちら側」から「こちら側」への侵食なのかな、とか。
  • Gmailは、電子メールの中に機械的に広告を挿入するが、その作業は全てコンピュータが行う。よってプライバシーの侵害には当たらない。
    • これ、別にGmailでなくとも普段当たり前のようにメールを使ってて意識はしなかったんだけど、言われてみれば確かに気持ち悪い一面もあるかもなあ。プライバシー云々というより、大げさな言い方をすれば自分の創作物に勝手に広告を挿入される気持ち悪さ。これがあるから、このサイトでも本文中には(今はまだ)アドセンス広告を入れてません。
      • 逆に考えると、普段はそれだけ意識してないってことか。
  • オープンソース開発の規約は、全てソフトウェアの配布に関して定められている。ネットの「こちら側」ではライセンス問題が生じるが、「あちら側」ではその限りではない。
  • googleの「ビジネスモデルは広告」というところで、俺たちには関係ないと思考を停止してしまう人が多い。
    • これは、私の中にまだ根強い考えです。じゃあなんで広告を導入しているかというと、書影を表示できるからというのと、作品の詳細が分かるページへリンクを貼りたいから。つまり、amazonアソシエイトはそれ自体が価値のある広告という考え。
  • 電子メールは、情報の隠蔽を基本とする従来型組織を支援する情報システム。
  • 凄く頭のいい優秀な連中というのは皆、自分を管理できるのだ。
    • 自分を管理できる=情報の選別能力が高い?
  • ヤフーはメディア、グーグルはテクノロジー
    • この構図だと、確かにはてなはグーグル寄りなのかもしんない。最近落ちやすいのが、グーグルに比べるとちょっと不安ですが。もうちょっとそういう基本的なところを補強してから新機能を追加して欲しいなあ。
  • アマゾンはネット小売業者から、eコマースのプラットフォーム事業へ、テクノロジー企業へと変貌を遂げたのである。
  • アドセンス世界には地域経済格差がない。
    • インターネット登場以前から、クリエイターなりデイトレーダーなりが南の島に拠点を置いて、仕事上必要な連絡はメールなりなんなりで……ってスタイルが目につくようになってきたけど、老後は南の島に住んでアドセンス広告で自活、なんてパターンもあるのかもね。
  • 自分がお金に変換できない情報やアイディアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる。
  • フォークソノミーとは、「個」のタグ付けを集積することによって「全体」の分類をすること。
    • 「個」のタグ付けすら出来ません(*><)


地球上の全ての知の再編成を行おうとしてるのがgoogleの凄さらしいんだけど、それならgoogle村八分とか、中国での検閲の話とか、そこらへんにも触れてほしかったなあ。この本の楽観主義に反するとしても。それを乗り越えてでも知の再編成を行おうとするgoogleロックスミス@プラネテスも真っ青の独善。そういう読み物を読んでみたい。