シャンク!!ザ・ロードストーリー(2) 百年かけた願い事/秋田禎信/角川スニーカー文庫

シャンク!!ザ・ロードストーリー VOL.2 百年かけた願い事 (角川スニーカー文庫)


シャンクたちは、謎の魔法使いにとある町へと招待される。そこで待っていたのは意外な人物だった。


最終巻。終盤での「不死秘法」についての引っくり返し方に、オーフェン最終巻のアレを思い出しました。言葉遊び、ではないんですよね。論理学的な突き放しとでも言うべきでしょうか。理屈は単純で、理解は出来るけど、なんとなく釈然としないものが残る。こういうのもバカミスって言うのかな。なんかこの人、言霊信仰とか持ってそう。私は楽しめましたけど、「なんじゃこりゃー」といって本を壁に叩きつけたい衝動に駆られる人もいるんだろうな。


しかし、相変わらず回りくどいお話でした。「キーリ」も大概に回りくどい回りくどい言ってるけど、これは良くも悪くもその比じゃないと思います。

色々ぐちゃぐちゃとややこしい言い回しで遠回りさせながら、結局そういった「ベタ」へと着地させるから、その着地点に至ったときの安心感がたまらない。


http://d.hatena.ne.jp/yakusi/20060414/1145003914より


オーフェン東部編以降のこの作者って、基本的にテーマ先行型なんだと思うんですよ。何かまず伝えたいことがあって、そこから逆算して全体の物語を作っていく。結果、答えを出すカタルシスというか、盛り上がりが最後の方に来る。だから序盤の話は退屈なんだけど、後で読めば色々全部納得できるようになっている。それはいいんだけど、今回に限って言えば4巻中盤で魔法使いが次から次へと出てくるところとか、本当に遠回りにしか見えないところが多いのが残念でした。これはこっちの心理状態とかもあるんでしょうけど。


あとは、設定が、設定でしかないというのも不満でした。物語やテーマと密接に関わってることは分かるんですが、オーフェンで言うなら「トトカンタの氷は魔術士が作っている」的な肉づけがされていないというか、あまりに寓話的に過ぎるというか、ぶっちゃけて言うととっつきにくい。


とは言っても、あの終盤のような展開が描けるのなら、私が読むのをやめる、ということはしばらくないでしょう。今やってる「パノ」は面白いし。新企画、期待しています。