キャラクター小説/萌え小説/ゼロの使い魔

ゼロの使い魔」がアニメになります。最新刊は、日販の文庫ランキングでマイナーレーベルとしては異例の5位に入りました。実際の売上は分からない(というかいくらなんでもキノやシャナ、フルメタと同列とは思えない)けれど、この順位だけを見れば電撃や富士見といった老舗のトップと比べてもあまり遜色はありません。まさに絶好調と言っていいでしょう。


ゼロの使い魔」ほど、外から見た作品のイメージがヒロイン単体の(性的な)魅力一色で、尚且つそれでアニメ化までこぎつけるほどの人気を獲得したラノベはそうありません。評判を聞いているとそう感じます。実際、読者の男性率が96%という数字も、その辺りを証明しているのではないでしょうか。リナ・インバースも、テレサ・テスタロッサも、シャナも、なるほど人気のあるヒロインではあるけれど、作品の魅力はそれだけではない。少なくとも、十人いれば十人感じる魅力がそれぞれ違う。だから、どこのファンの間でも「これこそがこの作品の最大の魅力だ」「いやこれこそが」と、それぞれの作品像がぶつかり合い、議論が起こります。ライトノベルというジャンルはキャラクター小説だ萌え小説だ言われているけれど、実際キャラ萌え「だけ」を武器にアニメ化されるか、レーベルの顔になるか、といったところまで人気を博した作品はないと言っていいでしょう。必ずバトルだとか、オカルトだとか、そういうものと組み合わせる。「萌え」なしに現在のライトノベルは成り立たないけれど、「萌え」だけしかないライトノベルもそうないのです。唯一例外っぽく見える「まぶらほ」は、そもそも作品を代表するような人気のある単体ヒロインの話を聞きません。


勿論、「ゼロ」がそれだけと言っているわけではありません。いや、実際のところそういう声ばかりが聞こえてくるのは事実です。ただ、この場合疑問に思うのは、この作品の魅力はルイズのツンデレにある、ということを、少なくとも否定する読者が見当たらないということです。王道展開もある。面白いテキストもある。でも、作品の魅力に占めるヒロインの魅力が、群を抜いて大きい。


これはどういうことなんでしょう。何故、「ゼロ」が単体ヒロインの魅力のみを武器としてこんなにも人気を得たのか。折からのツンデレブームに乗ったのは間違いないだろうけど。それだけ作者がルイズを魅力的に描けているということなのか。それとも、そういう時代が来ているということなのか。他に何か理由があるのか。


ところで、今まで意図的に無視してきたけど、ファンがみんな口を揃えて「このヒロインは可愛い」と言い、それ以外の要素はあまり褒められていない、レーベルの看板作品が、もう一つあります。それが「GOSICK」なわけだけど……そういえばこっちもツンデレとよく言われてますね。やっぱりツンデレブームは大きかった、という結論になっちゃうのかな。