キーリⅤ、Ⅵ はじまりの白日の庭(上)(下)/壁井ユカコ/電撃文庫

キーリ (5) はじまりの白日の庭 (上) 電撃文庫 (0960)キーリ (6) はじまりの白日の庭 (下) 電撃文庫 か 10-6


ウェスタベリに着いたキーリたちは、ハーヴェイの昔馴染みが団長を勤める興行団のキャンプに世話になることに。植民祭期間中の街で、キーリは意外な人物と再開する。


キーリとハーヴェイの関係にようやく進展らしきものがががっ!!今まで、双方の面倒くさい性格のため、ひたすら1歩進んで2歩下がるを地で繰り返して焦らされてきたあって、いいなあ。わりとベッタベタだけど、ニヤニヤするなあ。


再登場したあの人は、随分イメージが変わっていましたね。つっても1巻を読み返してみたところ、本人が変わったというよりはむしろ、劇中での扱いがやたら軽くなった感じ。ほっとくとどんどん暗くなる一方の作品なんで、こういうバランス感覚は歓迎したい。特に成り行き上ハーヴェイとコンビを組むシーンはこの作品らしからぬスラップスティック風。何かとハーヴェイと対比されて、当て馬の匂いがぷんぷんしているところが可哀想。んでも、そういうところが気に入りました。FF4ならセシルよりカイン、DQ2ならローレシアよりサマルトリアの王子、つまりそういうポジションのキャラが好きなんです。ま、そもそもハーヴェイが好きになれないってのもあるんですが。なんつうか、こういう言い方はアレだけど、その背後に作者の女性性みたいなものを強く感じてしまいどうも……。キーリは、最近この辺りを見て、海外で嫌われそうなキャラだなあと思いました。

海外のファンが嫌いな女性キャラクターの特徴を挙げると、(1) ドジ(愚か)である。(2) 恋人のことでグチグチ悩む。 (3) 恋人の名前を連呼する。 (4) すぐ泣く。(5) 乱暴 (成瀬川なるの例) である。


こんな感じで。まあ、余談ですけど。あ、個人的にはキーリ好きですよ?


それ以外では、相変わらずハーヴェイが好き勝手に動いて、キーリが拗ねてふらふらと妙な事件に巻き込まれて、面倒くさいからハーヴェイはほっとくんだけど、兵長の小言で重い腰を上げて……と、ワンパターンな展開の仕方だったんだけど、今回は面白かった。上下巻だったからかな?ゲストキャラも、アクションも、SukoshiFushigiな南ウェスタべりの舞台も、十二分に書き込まれてて満足満足。特にこの人の舞台設定は、普段あんまり魅力として語られることはないけど、結構好きだったりします。霊的な磁場を発生させる不発弾が埋まっていて、それが周囲の空間に影響し、霊体が引き寄せられて云々、とか書いてるだけでハアハアしちゃいますよ。


イラストがなんだか無機質になり、キーリの頬がぷっくりしてきているのは気にしない方向で。あと3巻、完結にはなんとか間に合いそうです……。