ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い/西尾維新/講談社ノベルス

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)


シリーズ最終巻。数日前に読み終わってたんだけど、他の人の感想を詠むのに結構な時間がかかってしまいました。大体、はてなでは「伏線は回収されず、予想外の顛末だったけどハッピーエンドでよかった」って人がほとんどでした。


例えば、もう何をやってもどうにもならない絶望的な状況があるとします。打破するのが99.999999........9%無理、というような絶望的な状況です。主人公は自分が何もできないことに苦悩し、やがて諦観の念を抱くようになります。何もしない主人公を、人生の師が叱ります。叱咤を受けて主人公は立ち上がり、0.0000.......1%の可能性を掴み取って、状況を打破したのでした。めでたしめでたし。というようなのは物語のテンプレではあるのだけど、不屈の意志を持つに至る過程まで描けば、あとはすっ飛ばしてもいい、ってのは何だろうか。いや、あくまでこれは主人公の成長物語で、「世界の終わり」やら何やらがそのための踏み台に過ぎないんだ、ってのは分かりますけれども、だからって成長したからその障害の行方は描かなくてもいいんです、ってのはどうなんでしょう。多分アリなんでしょう、アリなんだろうけど……うー、納得いかねー。玖渚の病気はいつ治ったんだー。<<殺し名>>とか<<世界の終わり>>とかの設定はいいから、その辺を描写してくれー。冒頭の玖渚との対話は盛り上がったのに、なんでああいう方向に行くのかなあ。不屈の意志を持てばなんでも出来るかもしれないけど、その主張を肉づけして描写するのが物語じゃないのかー。光あれ、と言っただけで光が生まれるのは神様だけで十分ですよ。いやまあ戯言なんだけどね。