黒白キューピッド/中村九郎/集英社スーパーダッシュ文庫

黒白キューピッド (集英社スーパーダッシュ文庫)


プレイヤーの秘密をやり取りし、クリアすれば天使がやってきて願いを叶えてくれるという噂のオンラインゲーム、「七色キューピッド」。クラスのヒロイン・メイジは誰かに告白したい、でもその誰かが見つからないという秘密をどうにかしたいがため、根暗なゲーマー、加藤はゲームにまつわる噂を確かめたいがため、ゲームを開始する……。第3回スーパーダッシュ小説新人賞落選作。


周囲の酷評に私の天邪鬼な性分が刺激されたか、けなされてるものをあえて擁護することで確固たるポジションをラノベ感想サイト界に確立しようというスケベ根性でもおこしたか、はたまた妙な電波を受信したか……なんだかんだで楽しめている自分がいます。


設定は作者の脳内だけで展開されてるようで解説も足りない。キャラクターは一貫してない。文章、うん、やっぱり脳の赴くままにぽんぽんと書き連ねていったかのような文章が好きなんですね。つうか、話の方は理解しようすると難しいところはあるけど、文章だけなら、追ってくことはそれほど困難ではないんですよ。むしろ心地いいとすら言えるかもしれない。ただ、それでも最大の欠点が文章であることも事実。なんというか、話を伝えるための言葉じゃなくて好きな言い回しを使いたいがための言葉というか。だから意味の綻びが時々出てくる。いい部分と悪い部分がある。だから、私にも勿論文章の欠陥というのは分かるんだけど、それ以上に作者の感性にやられたわけです。駄目だった人はその逆だったのかな。


これから先、周囲からの要請で少しでも修正を余儀なくされると私の好きな感性まで潰されちゃいそうなのが怖いですが、次巻が出たら買ってみたいとは思いました。