封仙娘娘追宝録(1) 天を騒がす落とし物/ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫

天を騒がす落とし物―封仙娘娘追宝録 (富士見ファンタジア文庫)


ギー。今から読み返し始めて、2ヵ月後の発売日に間に合う確率が半分。11月19日が来ない確率が半分。どちらが正解かはシラヌシラヌ。


仙界にて修行中の仙人・和穂は、小さなミスから、封じ込められていた宝貝を人間界に落としてしまう。師匠が作ったはいいものの、様々な欠陥のため封じていた宝貝はその数、なんと726個。和穂は唯一その場に残った刀の宝貝・殷雷と共に、宝貝回収の旅に出る。


力押しでなく、まずルールが提示され、限定された状況の中で解答を導き出していく。この頃はまだそんな驚くような解決手段は取られてませんが、そういうところが魅力的な作品です。文章は、落語を聞いてる感じとでも言えばいいのか、とにかく妙な味わいを持っているんだけど、同時に読みやすさも併せ持っているのが強み。八卦炉の事故が起こって宝貝が解放されるまでのくだりとか、主観的時間と客観的時間が交互に描写されるっつーか、「スラムダンク」山王戦のような「一瞬の引き伸ばし」が緊張感を生んでます。デビュー作「食前絶後!」でも「思考の疾走」と名付けて主人公の感じる時間が普段のそれと違うって描写はやってたなあ。そういうネタが好きなんだろうか。


この頃から既にある程度完成されてて、富士見の長編にしては珍しく、その後もほとんど芸風が変わらないので、合う合わないの判断はしやすいかと。