バード・ハート・ビート 舞姫天翔!/伊東京一/ファミ通文庫

バード・ハート・ビート 舞姫天翔! (ファミ通文庫)


その地形から巨鳥を飼い慣らし、足代わりとしている渓谷の国、ラピーヌ。競鳥レースの騎手になることを夢見ている主人公、テオは仕事の途中である少女を拾うことになる。異国からやってきた彼女の名はリーン。重要な使命を帯び、ラピーヌの首都を目指しているという。運び屋を営んでいるテオは、彼女を首都まで送ることになる。


なるほどなるほど、これはなかなかの良作。キャラクターが生き生きしてて、文章も軽快で、読んでて楽しい。作者が言ってるように王道のボーイミーツガールではあるんだけど、恋愛模様の描写は薄めかな。むしろウザ過ぎないくらいに適度に書き込まれた色んな巨鳥の生態系に惹かれました。それが世界観にフィットしてて、尚且つお話の面白さに繋がってるのが好感度高し。巨鳥に乗って大空を飛ぶ様はとっても爽快。話を進めるにつれて少しご都合主義的な展開も目立つようになるけど、展開のスピード感を保つにはこれくらいがちょうどいいのかもしれません。


しかし、「他の男と結婚させるために主人公がヒロインを送り届ける」ってのはボーイミーツガールとしてはどうなんだろうか(笑)いや、勿論そこらへんの2人の心情とかは本文で描写されてはいるんですけど、ラストで微妙にぼかしてるのは作者も気になってるからか、それとも続編を意識してるのか。個人的には続編はいらないとは思いますけどね。


この手のレース物では岩佐まもるの「ダンスインザウインド 翔竜伝説」がありましたね。大分記憶は薄れてるけど、結構面白かったような。