機動戦艦ナデシコ ルリの航海日誌(上)(下)/大河内一楼・大月俊倫/角川スニーカー文庫

機動戦艦ナデシコ―ルリの航海日誌〈上〉 (角川スニーカー文庫)機動戦艦ナデシコ―ルリの航海日誌〈下〉 (角川スニーカー文庫)


ついでに小説の方も、この機会に読み直してみました。基本的に原作アニメ準拠ですが、文庫2巻という尺の都合上、削られた部分や、本来別々だった筈の事件が一つの話の中で起こったり、時系列をいじったり、といったことももそれなりにあります。特に中盤、火星から地球に帰って以降に空白が多いかな。大筋を理解するのには問題ないと思うけど、これ1冊だけだと細部で色んな部分が出てくるのは避けられないかもしれません。


文章は、ホシノ・ルリ一人称。私が感心したのはこの点で、アニメでは口数があまり多くなかった彼女が語り役となっても、原作の雰囲気を全く損なってないんです。勿論、アニメでも冒頭の「それは、木星の向こう側からやってきた……」などナレーションなんかは担当してたし、実は喋る時には結構喋ってはいたんだけど、アニメにはないエピソードでも違和感が生まれない。キャラの性格をきちんと把握してるってのはノベライズものでは大切です。原作ファン向けとしては、非常によくできていたかと。


それと、本文中のイラストは鈴木雅久。薄幸な雰囲気がよく出てて、ごっきー絵に負けず劣らずの魅力が出ていました。


ところで私はずっと勘違いしてたんですけど、作者の大河内一楼って原作アニメの方では仕事してないんですね。スタッフリストにも名前ないし。これ以降は同じジーベックでナデシコの続編なんて言われてる「宇宙のステルヴィア」やったり、脚本家として有名になったんで、てっきりナデシコでも脚本担当したのかなーと思ってたんですけど。小説本業でもないし。