ディバイデッド・フロントⅢ この空と大地に誓う/高瀬彼方/角川スニーカー文庫

ディバイデッド・フロント〈3〉この空と大地に誓う (角川スニーカー文庫)


絶望に抗いながら正体不明の化け物と戦い続ける少年少女の話、最終巻。424Pって分厚いなあ。多分、自分が持ってるスニーカー文庫の中では一番か?と思ったら、「ラグナロクEX. アウトサイダー」が447Pでした。この頃の情熱はどこにいったヤスケン


キャラの心理描写もしっかりしてたし、文章も落ち着いてる。終わり方も綺麗なもんだった。なのに、今一つのめりこめなかった自分がいるのはなんでだろう。いや、良作だとは思うんです。思うんだけど、帯の煽り曰く「鬼才」と呼ぶには、ちょっと作風が綺麗にまとまりすぎてるような気もします。これは私の読書傾向がラノベに寄り過ぎてるから、というのもあるんだろうけど。例えば、敵に身体を乗っ取られたイチルと英次が対峙するところなんか、もっともっと盛り上げられたと思うんだけど、それをしないのはわざとなのか、とか。絶望絶望言ってる割に、敵もなんだか弱いし。これには、主人公がああいう形で力を手入れちゃったことへの不満もあって。腕になんか取り憑くって設定の時点でそうなることはむしろ必然だろうけどさ、憧れの人の背中を追ってひたすら努力する主人公が、ああいう形でその差を縮めるってのはちょっと納得できません。


あと、せっかくいいポジションにいる桐島先輩なのにいまいち出番少ないぞゴラァとか個人的なアレコレもあるけど、そこらへんはどうでもいいや。羽生さんと彩先輩はかっこよかったよ。