あずまんが大王

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BGMにずっとかけてても飽きが来ない作品て、そうないよね。


言わずと知れた同名コミックのアニメ化作品。漫画だと読者がそれぞれ自分のリズムで読めるけど、アニメにした時点で制作者の読み方を強いられる。あずまんがは特に、コメディとしての面白さの大部分が「間」の取り方にあったから、初めてアニメを見た時の違和感は一層強かった。結局それは終盤になっても消えることはなくて、ギャグ部分は原作以上に楽しめるということはなかったと思います。


むしろ、アニメ版の強みは青春物としての一面、情感の強いシーンにある。ような。


原作を読んでいて最初に違和感を感じたのはいつだっただろう。確か、修学旅行で榊さんがヤママヤーと会って、別れる話だったと思います。この話にはギャグ漫画としてのオチはない。あの榊さんがだーっと涙を流して、手を振って、ヤママヤーとそのお母さんが彼女を見送る。それで終わり。榊さんを追って東京まで来てしまったヤママヤーと榊さんが再会する話は、より異質です。スペシャルということで、まず4コマじゃない。同じ「ちよちゃんの1日」もちょっと変わった雰囲気だったけど、こっちは特に「いい話」としての一面が強い。この回だけに登場する獣医のおじいさんも、あずまんがの世界には全くそぐわない。そして受験を経て、卒業。「ずっと、ずっと、一緒」。感動。その終わり方は、まるでNHKの青春ドラマのよう。「ああだめ!スリーサイズは秘密よ!」で始まったこの漫画に感動なんて形容詞を使うと誰が予想できたでしょうか。あずまきよひこは序盤、あえてそういう雰囲気を出そうとしなかったのか。それとも4コマという形式上、出しにくかったのか。


そういう、原作ではたまに顔を出す程度だった青春がどうしたという話が、アニメでは強調されている気がする。まず、#9「ちよちゃんの誕生日」。まあこれは青春というより、シュールな雰囲気が強過ぎて、原作読者からは非難ゴーゴーだったけど。#12「ちよちゃんの1日」。ちよちゃんが飛び級によって一気に飛び越えてしまった時代を、みんなで縄とびすることで取り戻す、みたいな。まさにノスタルジー。これは原作の延長線上の話としてアリだと思う。


多分、一番反響が多かったのが#19「あくび」でしょう。完全オリジナル。にゃもちゃんに見合いや転職の話が来たり、神楽が将来について悩んだりする話。原作にない設定云々……ということはあまり問題ではないような気がする。あの原作を見てモラトリアムがどうしたということを、年食った人が考えてしまうのはそんなに不自然なことではないでしょう。問題は、それを表に出すかどうか。みんな分かってて楽しんでるのをあえて指摘されて、とも風に言うと「ぶちこわしだー!」と思う人もいる。個人的には、こういった話もアリ。なんでかっていうと、あずまきよひこが抑え切れずに原作でも少々出てしまった「いい話」分が別のところに顔を出したのが、この話だと思ってるから。そういう意味で、「この話をあずまんが大王でやる意味」があったのかと問われれば、多分「ある」。アニメスタッフの暴走だとは、思いたくない。同人っぽい話だというのは同意。ただ、原作をアニメ化した時点で、独自の解釈が入らない作品なんてありませんし。「俺まんが大王」でも面白ければ問題なし。


残念なところを一つだけ挙げるとするなら、ゆかりちゃんが「呑気なのもモラトリアムの特権でしょー」という発言をしたこと。いくらなんでも、言葉で説明し過ぎだ……


・見下げ果てた日々の企て:あずまんが大王 第20回
http://picnic.to/~mhk/diary/diary0208b.htm#azu19
こちらの感想が参考になりました。外部からの視点、ですか。なるほど。