小説 エマ(1)/久美沙織/ファミ通文庫

小説 エマ (1) (ファミ通文庫) 


原作は3巻まで読了した筈だけど、記憶は曖昧。久美沙織に関しては大昔にドラクエのノベライズを読んだ位です。


なんか、素直に面白かったですよ。原作があまりキャラに心情を語らせず「間」で読ませるのに対して、こちらはとにかく饒舌。女性らしい、と言ったら色々語弊があるかもしれないけど、細やかな描写で作品世界の隅々までを描写しています。そういえば、ドラクエノベライズはⅢまでのロト3部作を高屋敷英夫という人がやって、Ⅵまでの天空3部作を久美沙織が担当したのだけど、Ⅳから急に「天鳶」「瑪瑙」みたいな華美な単語が増えて当時驚いた記憶があるなあ。ともかく、そういう描写がこの作者の、ひいてはこの小説版エマの売り。その原作とは対極のアプローチに戸惑う人もいるかと思ったけど、はてなの感想なんか見てると大部分の人には受け入れられてるみたいですね。私としてもこれは望むところ。特にウィリアムとエマの出会い頭のシーンは圧巻。眼鏡のエピソードは秀逸。


ただ、描写が綺麗だからこそ、登場人物がやたら「アホ」とか連呼したり、「だ〜か〜ら〜(怒)」とか言ってみたりというのがかえって凄い目立って雰囲気ぶち壊し。なんでこういうことするかなあ……これがなければ手放しで絶賛したのだけど。