モンテ・クリスト伯(1)/アレクサンドル・デュマ 新庄嘉章訳/講談社文庫

モンテ=クリスト伯 1 (講談社文庫 て 3-1)


巌窟王」の原典。文庫版に限ると大学の図書館にあったのは岩波版、角川版、講談社版の三つだったのだけど、一番新しいものをということで講談社版を借りてきました。色々巡ってると有名なのは岩波版らしいけど、まあいいや。


ネタバレしちゃうと、アニメと原作の最大の違いはエドモンとフェルナン、メルセデスの3人が元々の友達ではなかった、ということか。こっちだとエドモンとフェルナンは伯爵が逮捕される直前に会ってるので、それ以前の交流といったものはなく、フェルナンは最初からメルセデスの許婚であるエドモンに嫉妬してるという位置づけ。アニメではだから、3人の関係をアルベール、フランツ、ユージェニーに重ね合わせて「復讐」という主題の他に「友情」ってのを大分強調してる感じ。あとやっぱり、伯爵視点とアルベール視点の違いってのは大きいかなあ。伯爵は原作のが人間味があって親近感はある。それは、アニメみたいな「巌窟王」という超自然的な存在が出てこないというのもあるんだけど。つけ加えると、こっちは18世紀のパリが舞台なので、ナポレオンとかルイ18世とか、実在の人物も出てきます。


時代が時代だからか、「おお、なんということでしょう!」みたいな仰々しい台詞が多いのも特徴?アニメのあの演出過剰っぷりは、こういうテンションの高さを再現しようとしてのことだとしたら、結構うまく行ってたと思う。


分量の割にテンポよくてサクサク読み進められるので、なるべく早く続きが読みたい。