ネット王子とケータイ姫 悲劇を防ぐための知恵/香山リカ・森健/中公ラクレ新書

ネット王子とケータイ姫―悲劇を防ぐための知恵 (中公新書ラクレ)


気分転換のために読んだ一冊。タイトルに示されているような男はネット、女はケータイという傾向や、情報技術は「そこそこに知っている人」という中間層がいなくて初心者とヘビーユーザーだけだ、という話に興味があったんだけど、じゃあ何故そうなるのかって辺りが煮詰められている本ではなく、ちょっと期待外れでした。要は、女性はコミュニケーションを重視するからケータイ、男性は世界で特権的な存在になるという感覚を得ることが出来るからネット、ぐらいで。


また、この本では一般大衆は自分が信じたい情報だけを得ようとする、マスコミはそのニーズに合った情報を流す、ということの一例としてゲーム脳の話が挙げられています。でも、ゲーム脳はトンデモ理論だ、と専門家が言ったところで、それは所詮専門家の言葉に過ぎなくて、ゲーム脳はトンデモ理論だというのはトンデモ理論だ、という話が出てきたとしても、素人にはそれが正しいかどうかを判断する材料がないわけじゃないですか。そりゃ、どういう分野でも専門知識ってのは必要だろうけど、脳波がどうしたという分野は特に。だから、自分で専門的なことを勉強しようと思わない限り、ゲーム脳はトンデモ理論だ、というのを声高に主張しようという気には私はあまりなれません……当事者同士が直接会って公開対談を開く、とかいう話があれば分かりやすいんですけどね。