劇場版AIRin池袋シネマサンシャイン

ネタバレ全開。
まず、気付いたところを羅列してみます。

  • OPの鳥の詩、TV同様ぶつ切り。青空も同様。EDのスタッフロールでFarewell Songが流れるけど、途中で突然別の曲に。
  • バスの運転手がCV置鮎
  • 人形劇でお金を稼げる国崎最高。子供に大うけ。
  • 国崎の母親は生きててどっかの都市に住んでる。
  • 観鈴ちんは自転車に乗れない。国崎に対して積極的にアプローチ。「もっと彼氏らしく振舞ってもいいのだよ?」
  • 観鈴の父、啓介は眼鏡かけてた。kanonの久瀬に似てました。
  • 晴子さんと観鈴は最初から仲良し。
  • 晴子さんの透け透けネグリジェ
  • 海のCG浮き過ぎ。
  • 止め絵、3回パン、分割演出多過ぎ。
  • ていうかあの太鼓、結局なんだったの?
  • 柳也の必殺技はベイブレード。電磁ゴマで衛兵の人たちをなぎ払う。
  • 全体的に古い印象。
  • ラストのコート着た国崎は矢吹ジョー。


こんなところでしょうか。ご覧の通り、原作を忠実に再現して人気を博している京都アニメーションのTV版とは対極で、原作との相違点が多く見られます。それでも、極力原作信者フィルターを排して観ようとしたんですけどね……


まず、劇場版の大筋に観鈴がフィールドワークで町の歴史を調べていく、というのがあります。この場合、町の歴史=原作でいうSummer編であり、祭りの神輿にも神奈の格好をした子供が乗っていることからも分かるように、どうやら劇場版では「翼人」に関する伝承が一般にも結構残っている模様。この伝承が、話の進行に重ね合わされるように、観鈴のモノローグという形で挿入されていきます。美凪と佳乃の話を抜いてさえ長尺な話をどう捌くか不安だったんですが、この構成はよかったと思う。おかげで、TV版を観た時に感じた展開の速さはそれほど感じられませんでした。ただ、観鈴ちんカメラぱしゃぱしゃやり過ぎ。


キャラクター設定の改変について。まず、晴子さんは病気に関して色々思うところはあるものの、最初から観鈴への愛情度はMAX。観鈴の実家への直談判など色々カットされてるのは寂しいですが、これはまあしょうがないかな、くらい。むしろ原作では少なかった幸せそうな2人が観れてよかったかな。浴衣のシーンとか。というのも、劇場版は家族愛じゃなくて、往人と観鈴の恋愛話がメインだから。多分、原作ファンには何よりここが引っかかるところでしょう。そのせいか、観鈴は原作に比べ大分大人びており、往人に対してもかなり積極的。「もっと彼氏らしく振舞ってもいいのだよ」は衝撃。でもまあ、個人的にはこれはこれでアリかなと(観鈴が実の母親の写真を燃やすシーンはちょっと?だったけど)。原作では最終的に晴子と観鈴の話になってしまったわけだけど、往人が最後まで二人の傍にいるという選択も、製作側がそれを望んだのなら。神奈と柳也のエピソードにも重ねやすいし。そういう意味で、裏葉の出番が聖並で、セリフも二言三言ってのもそれなりに納得できます。ただ、それは設定改変が功を奏していればの話。


キャラクター改変で一番の問題は往人。まずよく挙げられるのが、人形劇が子供に大うけ。ガッポガッポ儲けます。ゲームの方で彼の芸が受けなくて「じゃあどうやって食ってるんだ?現実感がない」というのが改善されたという人もいますが、別に日雇いのバイトでもなんでもして食っていけないことはないだろうし、そんな気にするようなことではないと思うんだけどなあ……。ま、最もこれも「人を笑わせられない往人が頑張って観鈴を笑わせようとする」という見せ場が失われたことで、法術とか人形使いとかいう設定自体が何の意味も持たなかったわけですが。人間嫌いとか、家族の冷めた作り笑いが嫌いとか、本当に本気な奴なんかいないとか、そこら辺もよく分かりませんでした。


原作と違う、大いに結構。ただ、その割に原作の、劇場版では意味を為さなくなった設定とか残ってて、中途半端なんですよね。そういう姿勢が、EDのFarewell Songが途中で別の劇場オリジナル曲に突然変わる、とかいったことに象徴されているのではないかと。ほぼアニメオリジナル曲で勝負したアニメ版kanonみたいに、どっちかにして下さい。OPの鳥の詩に関しても、TV版と違って尺はあるのにTV版と似たようなぶつ切りにしなくても。


話についてはこんなもので。あとは、作画はお世辞にもいいと言えるものではありませんでした。これはまあ、多くの人の意見が一致するところでしょう。京アニと比較してどうこうじゃなく、観鈴が写真を燃やすところとか、明らかに動きがおかしいシーンも見受けられたし。


最後に、出崎ファンとそれ以外で温度差が激しい演出。入射光は夏!という感じがしてよかった。魚眼レンズっぽい視覚とかも、面白い試みではあった。三回パンを伴った劇画調の止め絵(ハーモニー、と言うらしい)は明らかに多すぎる。私はこの監督が参加した作品で知ってるのって不勉強にも明日のジョーとガンバの冒険ぐらいで、しかもどっちも記憶が曖昧なんですけど、この人の作品ってこんなに同じ演出を多用するんですか?90分の中で5、6回は使われてたんですけど……別にああいう演出はもう古いからするな、っていうんじゃなくて。いや古いけど。もうちょっと数を絞って使うからこそ、印象的になってくるんじゃないでしょうか?ああいうものだから、ってだけじゃどうにも納得できませんでした。


以上、文章に起こしてみると不平たらたらですが、2chで言ってるような完全な駄作、というわけではないと思います。なんか中途半端。


結論:青空はズルい。


追記:京アニのTVアニメなしでこれだけ上映されたらどうなったんでしょうね。