食卓にビールを/小林めぐみ/富士見ミステリー文庫

食卓にビールを (富士見ミステリー文庫)


当初の作風と変わってしまうと「あの頃はよかった」と嘆き、かといってそのままでいれば「進歩がない」と憂う。私もそんな自分勝手なオタクの一人ではありますが、この人のは時間が経っても安心して読んでいられる作品。10年後もそう言ってられるかは自信ありませんが……


各所で「なんだかよく分からない」と評判のこの作品。一応話の粗筋を説明しておくと、小説家で物理オタクの女子高生人妻が何故か次々と未知との遭遇を果たしては事態を飄々と(?)切り抜けていくというもの。雑誌で初めて読んだ時にはこの粗筋読んでエッセイかと思ってました。本人女子高生ではないけど最近結婚したし、何度もあとがきで「物理オタク」公言してるし。そんなわけで主人公の変人っぷりにはどうしても作者の影を見てしまいますw曰く「理系コメディ」。曰く「日常SF」。うむ、大体合ってる。煽り文句にある「16歳女子高生人妻」が本編で全然売りになってないのには苦笑するしか。


余談。この人って、エロゲの影響ばかりが強く出ている男性向けラノベレーベルの中で珍しくジュブナイル寄りの話を書ける人、という気がします。「必殺!お探し人」シリーズとか特に。SFもファンタジーも、こういう一風変わったのも何でも書けるし、器用な人なんだろうなー。