インターネット完全活用編 大学生のためのレポート・論文術/小笠原喜康/講談社現代新書

大学生のためのレポート・論文術 インターネット完全活用編 (講談社現代新書)


最近お気に入りの講談社現代新書刊。正直こういうのを含めるかどうか迷ったけど、まあ活字には違いないしいいか。

大学生活も終わろうって時期に読むタイトルじゃないよなあと自覚はしつつ。
前半は必要な資料を揃えるために検索エンジンを使い倒そう、という話。これにはさして感慨を覚えなかったんだけど、後半、コピペで何でも済ませられそうなインターネット時代における「知」のあり方とか、最近よく聞く「メディアリテラシー」とやらの話は面白かった。誰もが自由にものをいえるからこそ意図するしないに関わらず嘘が溢れ、これまで以上に情報の真偽を見抜く能力(=メディアリテラシー)が必要なインターネット時代。筆者によると、嘘を見抜くためには


>あぶないあぶない強調発言(煽動的な雰囲気)
>当然わかっているとは限らない「当然」発言(根拠なく「常識」に訴える、無意味に学術的な装い)
>数字を持ち出したら要注意(数量は、主張の根拠でなく、吟味の対象)
>権威を持ち出したらそれはもう(引用文は、それを引用した人に責任がある)
>おいおい一緒にするなよ(類似点を多く挙げるだけで二者を同一視する)

などが注意点だという。ネット上ではわりかしよく聞くこととは言え、こういう形で簡潔にまとめたのを見たのは私は初めてだったので新鮮でした。

総じてあまり実用的ではなく、どっちかっていうと心構えみたいなものが多いんだけど、そっちの方が筆者独自の考えが伝わってきて面白かったです。

追記。筆者は検索すれば何でも分かるインターネット時代には知識をただ溜め込むだけでは駄目だ、と言ってるんだけど、やっぱり自分の頭の中にある知識と外部から引っ張ってきた知識では、文章に滲み出る自信が違うと思います。それは私自身がよく痛感してるところ。確固として自分の頭の中にある知識でなければ、それを応用なんて出来ないと思うのですよー。そう考えると、日常会話レベルにまで使われてる「攻殻」の外部記憶装置はホントに凄い。