滅びの笛+滅びの宴/西村寿行/光文社

滅びの笛 (徳間文庫)滅びの宴(うたげ) (光文社文庫)


NTRスレ経由。大量繁殖し、凶暴化した鼠の大群と人間との戦いを描くパニック小説。「滅びの笛」は直木賞の候補ともなったらしい。「滅びの宴」はその続編。鼠の異変にいち早く気付いた公務員の主人公だけど、硬直化した官僚社会では受け入れられず職場で孤立していく。そんな彼に失望した妻が浮気するのがポイントその1。その妻が鼠による混乱のさなか、暴徒と化した民衆にレイプされるのがポイントその2。その衝撃で記憶を失った妻が主人公の友人といい仲になってしまうのがポイントその3。個人的には3のシチュが好みだったんだけど、「滅びの宴」ではいつの間にか元の鞘に収まっちゃってたのが残念。あと主人公のハリウッド映画のようなヒロイズムがなんかアレだなあと思った。

虜/藤田宣永/新潮社

虜 (新潮文庫)


魔が差して汚職をしてしまい、全国に指名手配されてしまったため、妻の実家の持つ別荘へ身を隠す元銀行支店長。彼はそこで妻が知らない男と寝ているのを目撃してしまうが、立場の弱さ故に強く抗議することも出来ず……。


NTRスレ経由。ここ2、3ヶ月で読んだその手の作品の中ではオーソドックだけど描写もたっぷりあって、満足の行くものだった。どちらかというと気弱で先のない自分では満足させられなかった妻が、男性的な魅力に溢れ社会的にも成功している寝取り男の腕の中でうっとりと悦んでいる。それを自分は見ていることしかできない。妻に主人公に対する気持ちがほんの少し残っているのが切ない。

鍵/谷崎潤一郎/中公文庫

鍵 (中公文庫 (た30-6))


中年になっても性欲旺盛な妻に応えるため秘密の日記を書き、学生に妻を寝取らせることで自分を奮い立たせようとする老人の話。男の方の日記は全てカタカナで書かれているので、慣れるまでは読みづらい。


なんだか谷崎潤一郎の小説って栄養剤とか注射とか新薬とかその手の単語がやたら多いイメージが自分の中で定着してきた。中年〜の主人公の作品ばっかり読んでるからか?

時載りリンネ!(2) 時のゆりかご/清野静/角川スニーカー文庫

時載りリンネ!〈2〉時のゆりかご (角川スニーカー文庫)


今回は時載りのアイテムをオークションで落とすことを依頼されたことから始まる話。相変わらずアクション描写はいまいち。もっとこう日常にひそむ些細な事件を解決していくとかでいいんだけど。しかし歯列矯正用のブリッジをつけてる二次元美少女ってのは新鮮だな。やたら歯を強調する漫画家、なら武田すんがいるけど。

白髪鬼/江戸川乱歩/春陽堂江戸川乱歩文庫

白髪鬼 (江戸川乱歩文庫)


乱歩先生による「モンテ・クリスト伯」翻案。自分を裏切った妻に復讐しようと心を鬼にしたつもりが、また色香に騙されそうになる辺りが人間味があってよかった。それ以上に表紙のインパクトが強烈だったけど、ぐぐってみたら結構有名な人なのね。