虜/藤田宣永/新潮社

虜 (新潮文庫)


魔が差して汚職をしてしまい、全国に指名手配されてしまったため、妻の実家の持つ別荘へ身を隠す元銀行支店長。彼はそこで妻が知らない男と寝ているのを目撃してしまうが、立場の弱さ故に強く抗議することも出来ず……。


NTRスレ経由。ここ2、3ヶ月で読んだその手の作品の中ではオーソドックだけど描写もたっぷりあって、満足の行くものだった。どちらかというと気弱で先のない自分では満足させられなかった妻が、男性的な魅力に溢れ社会的にも成功している寝取り男の腕の中でうっとりと悦んでいる。それを自分は見ていることしかできない。妻に主人公に対する気持ちがほんの少し残っているのが切ない。