羅生門・鼻・芋粥・偸盗/芥川龍之介/岩波文庫
短編読解力がまだまだまだ足りない。……古典を読めば読むほど、ライトノベルの短編の希少さに愕然とするなあ。でも、現在の一般文芸だってそれほど多くはない、と思うんだけど。出版事情の違いでもあるんだろうか。それとも、現在まで残っている古典に短編が多い、という話?
五重塔/幸田露伴/岩波文庫
腕は立つが、人付き合いが悪く、世渡りが下手な大工の主人公が、何も顧みず五重塔を建築するまで。腕も立つが義理人情もあり、主人公のことも高く買っている大工の棟梁との対比。
ゑゑ、じたばたすれば拳(はり)殺すぞ、馬鹿め。親分、情無い、此所を、此所を放してくれ。馬鹿め。ゑゑ分らねへ、親分、彼奴を活しては置かれねへのだ。馬鹿野郎め、べそをかくのか、従順く仕なければ尚打つぞ。親分酷い。馬鹿め、やかましいは、拳殺すぞ。あんまり分からねへ、親分。馬鹿め、それ打つぞ。親分。馬鹿め。放して。馬鹿め。親分。馬鹿め。放して。馬鹿め。親。馬鹿め。放。馬鹿め。お。馬鹿め
常は何事に逢ふても二十年前三十年前にありし例をひき出して古きを大袈裟に、新しきを訳もなくいひ消す気質の老人さへ、真底我折って噂しあへば、
嵐が襲来するシーンは文字通り圧巻。でも夜叉云々が比喩かどうかよく分からない。まあ些細なことだけど。
坊っちゃん・こころ/夏目漱石/文春文庫
坊っちゃん
さすが夏目先生、読みやすい。って、これが読み難くて何が読みやすいんだ、という話だけど。痛快無比な主人公。正義の味方。勧善懲悪。こういった評判については違和感を表明してる人がいるけど、自分もどっちかというと彼らの肩を持ちたいなあ。つまり、主人公が助けたいと思っていたうらなり君が、結局のところ最期まで彼を敬遠してて、彼のやったことを知って感謝したのかどうか分からない(一人称なんだから当然だけど)っていう一点において、むしろ勧善懲悪とかそういったものを皮肉ってる気がする。やりたいことをやる、自分の信じた道を進むことが痛快だというなら、それは痛快だけどさ。そういった姿勢は必ずしも作中では肯定されてるとは限らないよね。
こころ
要するに私は正直な道を歩くつもりで、つい足をすべらしたばかものでした。もしくは狡猾な男でした。そうしてそこに気のついているものは、今のところただ天と私の心だけだったのです。しかし立ち直って、もう一歩前へ踏み出そうとするには、今すべったことをぜひとも周囲の人に知られなければならない窮境に陥ったのです。私はあくまですべった事を隠したがりました。同時に、どうしても前へ出ずにはいられなかったのです。私はこのあいだにはさまってまた立ちすくみました。
活字倶楽部の『カナスピカ』紹介
- 出版社/メーカー: 雑草社
- 発売日: 2007/04/25
- メディア: 雑誌
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まあ分量的にはちょこっとだったけど、表紙が公開されてました。塩田雅紀という人で(http://wallpaper.excite.co.jp/htm/lv3-1455-1.html)、スキマスイッチのCDジャケットとか、NHKみんなの歌の、平井堅版『大きな古時計』の背景の元になった絵(原画、とは言わないのかなこういう場合は)なんかを担当してたみたいです。
富士見ファンタジア文庫6月の新刊
http://www.kadokawa.co.jp/fujimi/novels/fantasia/index.php?years=200706
http://shinkan.main.jp/new/fujimi1.html
(上)の表記が、『刃を砕く復讐者』上下巻で5年待たされたろくご者の不安を、いやが上にも煽る。
秋田は講談社で新刊、こばめぐは富士見だけど四六判で新刊、ろくごは『封仙』を完結(?)……。なんだこの流れは。