五重塔/幸田露伴/岩波文庫

五重塔 (岩波文庫)


腕は立つが、人付き合いが悪く、世渡りが下手な大工の主人公が、何も顧みず五重塔を建築するまで。腕も立つが義理人情もあり、主人公のことも高く買っている大工の棟梁との対比。

ゑゑ、じたばたすれば拳(はり)殺すぞ、馬鹿め。親分、情無い、此所を、此所を放してくれ。馬鹿め。ゑゑ分らねへ、親分、彼奴を活しては置かれねへのだ。馬鹿野郎め、べそをかくのか、従順く仕なければ尚打つぞ。親分酷い。馬鹿め、やかましいは、拳殺すぞ。あんまり分からねへ、親分。馬鹿め、それ打つぞ。親分。馬鹿め。放して。馬鹿め。親分。馬鹿め。放して。馬鹿め。親。馬鹿め。放。馬鹿め。お。馬鹿め

常は何事に逢ふても二十年前三十年前にありし例をひき出して古きを大袈裟に、新しきを訳もなくいひ消す気質の老人さへ、真底我折って噂しあへば、


嵐が襲来するシーンは文字通り圧巻。でも夜叉云々が比喩かどうかよく分からない。まあ些細なことだけど。