福音の少年 時の神に抗いて/加地尚武/徳間デュアル文庫

福音の少年―時の神に抗いて (徳間デュアル文庫)

「もう、いいじゃない、盛本くん」拓哉の横にいた佐々木智和が彼を制した。
「なにがいいじゃない、だよ?」
「……最終戦争ってさ、言葉だけ聞くとなんだかワクワクするけど、実際に自分自身が巻き込まれそうになることと、べつなんだよ」智和は言う。
「なにがべつなんだよ?みんなびびったってのか?」
「……ちゃんと世界が終わる保証って……ないものね」冷静な反町香織の声がする。
「ち、ちゃんと世界が終わる保証?」振り返って拓哉は言う。屋上に残っているのは、天使同盟設立者、つまりいつもの三人組だけだった。
「明日にも世界がほんとうに終わるんだったら、なんだってできるさ。でも、まかり間違ってもこのまま人生が続いてくんなら、馬鹿なことはできない」智和が付け加えた。


時はまさに世紀末、時代と寝ることで大ヒットしたあのアニメの二次創作でこういう台詞が出てくるとは。なんか象徴的。あーでも考えてみれば、あのアニメも終わらなかった世界のその後を描いてはいたんだよなあ。