クララ白書1、2/氷室冴子/集英社コバルト文庫

クララ白書 1 (コバルト文庫)クララ白書 2 (コバルト文庫)


主人公の"しーの"は、中高一貫のお嬢さま学校に通っていた。「尊敬する吉屋信子大先生」の影響もあって、寄宿生活に熱烈な憧れを抱いていた彼女は、父親の転勤を機に、一人学園に付設しているクララ舎に入舎する。ところが、規則は厳しいし憧れのシスターはやめてしまうしで、その生活は思ったほどいいものではない。おまけに、新しく入舎してきた生徒は、上級生の出した課題をこなさなければならないという。これにしーのは、同じく新入舎で外部の学校から編入してきた、黙っていれば美少女の”マッキー”に、老舗うどん店の娘"菊花"と挑むことになるが……。


マリみて』のご先祖様で、「吉屋信子大先生」の子孫?、らしい。前者と比べると、大分俗っぽくて、明るく騒々しい雰囲気。私の記憶が確かなら登場人物のほとんどが自宅通学であったはずの『マリみて』と比べ、主人公たちが寮生活ということでその分制約も多いと思うのだけど、男性の登場人物も普通に登場して、普通に恋愛してます。ガチ百合とかなし。や、まあイメージの問題で、『マリみて』も祥子様以外は言うほどお嬢さまお嬢さましてはいないし、男性との恋愛はあんまり描かれないものの、ガチ百合は白薔薇さんとこくらいだとは思うのですが。その手の妄想なら、まだ『白い少女たち』の方がやり易いかなあ。


今までに読んだ数少ない氷室冴子作品との共通点を探すなら、女子寮、もとい寄宿舎(クララ舎は寮でなく、山の手的なイメージの寄宿舎と呼ばねばならないらしい)に転校生が、という展開が『白い少女たち』と、男性と女性が顔を合わせる機会が少ないという点では『ジャパネスク』とも同じでしょうか。まあ、ここら辺の比較はもっと数読まないとなんとも言えませんが。


しかし、既に各所で指摘されていましたが、後輩の夢見ちゃんというキャラクターのイメージが、松平・ドリル・瞳子と被る被る(笑)別に髪型は普通ですが、好きなあまり先輩(主人公)にツンケンしてしまう、シスコン気味で車持ちの大学生の従兄弟がいる、後輩の女の子ってあなた。箇条書きマジックじゃないですけど、コバルトだし、題材も題材だしなあ。いや、こういうのを見つけていくのは楽しい楽しい。


ちなみに。この作品、最初に出版されたものと、96年に「Saeko's early collection」として発売されたハードカバー愛蔵版と、2001年の谷川史子のイラストつきコバルト文庫新装版があるのですが、私が読んだのは二つ目のハードカバーのものでした。どれも時代の変化に合わせて結構加筆修正があるみたいですね