それでも町は廻っている(1)(2)/石黒正数

それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス)それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)


帯に曰く、「本格商店街メイド純喫茶漫画」。「本格」は「商店街」を修飾するのであって、決して「メイド純喫茶」にはかからないところがミソ。


この漫画のメイド喫茶ってのが生まれる過程を想像すると、


19世紀イギリスに実在したメイド

日本人のオタクが面白おかしくそれを脚色してゲームや漫画などに輸入

それを現実に再現しちゃったメイド喫茶

この漫画の間違ったメイド喫茶


と、実虚実虚みたいな感じで、段々何かがズレてく辺りが面白かった。


作中でメイド喫茶が舞台である意味ってのは既にあんまりなくて、2巻では全8話中3話しかメイド服を着てないのだけど。それでもあえてメイド喫茶であることの意味、というのを問うとしたら、本来非日常的な空間である筈のメイド喫茶が、人々の日常の拠点である商店街に回収されてる、ってのが興味深いとか、云々。


まあ、そんなこじつけしなくとも面白い漫画です。面白いんだけど、どうやって人に薦めればいいのか、ちょっと悩む漫画でもあるなあ。多分、ミステリー風味に、スラップスティックコメディ風味に、ラブコメ風味に、ちょっといい話と、なんでも書けちゃう人だから、逆に薦めどころに困るのだとは思う。スラップスティックコメディが基調ではあるんだろうけど。個人的には、主人公歩鳥の幼なじみ・真田君が絡んでくるラブコメ話が好きです。


あと、パンチラ(というかモロ?)が結構頻繁にあるんですが、サービスシーンとかじゃなくて、「だってこんな動きしてて見えなきゃおかしいじゃん」とばかりにあっけらかんと見せてるので、あんまり色気とかはなし。でも、サービスシーンではちゃんとエロい線を描くのがいいですね。