立喰師列伝/押井守/角川書店

立喰師列伝


映画の感想⇒http://d.hatena.ne.jp/megyumi/20061007/p4

  • 映画「立喰師列伝」の原作。原作者がすなわち映画の監督・脚本であるからして、内容はほぼ同じ。映画を観ている身としてはあまり新鮮味はなかった。けど、これは順番が逆なのでしょうがないんだろうな。
    • 内容は、と書いたけれど、あの押井監督独特の仰々しい語り口調も同じ。山寺宏一によるナレーションがそのまま、活字として載っていた。勿論、270ページ分のナレーションをそのまま流す、というのは無理だろうから映画では所々削ったり付け足したりはしているけれど、両者を比較してそういう「ここは喋ってた」「ここは原作になかった」部分をいちいち指摘していってもさして面倒でないほどには、ほとんど同じ。改めて、この映画での山寺宏一の仕事量に脱帽。
    • というか、押井作品につきもののあの語り口調は、映像媒体で文語体の台詞をそのまま使うからやるから難解なのであって、文字媒体なら結構理解しやすいな、と思った。ということで、話を理解するだけならこっちのがお奨め。どっちが面白いかは、分かりません。
    • 映画との違いと言えば。映画では「ディズ(ピー)ランド」だったのが、こっちでは伏字なしで表記され、逆に映画ではスタッフロールにまで名前を連ねていた「ロッテリア」は、こっちでは「******」(「マック」という略称から多分マクドナルドなんだろうけど)と伏字にされていた。出版界と映画業界の規制コードの違いとか?
  • しかし、これがザ・スニーカーに連載されてたのか。同じ角川書店内なら、NewType辺りにしといた方が、作者も読者も幸せなような気がするんですけど、どうだろう。
  • ふと、大塚英治がこの作品をどう評価するかってのが気になった。大塚英志言うところの「大きな物語」って、押井守仮想戦後史シリーズみたいなもんなんでしょうか。