ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟/上遠野浩平/電撃文庫

ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟 (電撃文庫)

「……なんだか、やけに人が死ぬよな、この学校―――」
(中略)
「いなくなっちまうヤツも多いよ。絶対変だよ」
「なんかに祟られてるんじゃないのか」
「なんかって、なんだよ」
「ほら、何年か前に飛び降り自殺した先輩がいたじゃん。あの女とか」
「やめろよ。なんかリアルに怖くなってきたよ―――」


深陽学園の生徒は、鈍過ぎると思います。


統和機構に対して異議申し立てをするための会合、「クレイム・クラブ」。そのメンバーである合成人間と、普通の高校生と、彼の幼馴染である女の子を登場人物とする喩え話。


近年このシリーズに増えつつある能力バトル分(人間爆弾とか)と初期の思春期分がいい按配で、わりと面白く読めました。綺麗な終わり方で、読後感も悪くない。でも、なんだか食い足りないような気がするのは、単純にページ数が足りないからか、作者が毎回似たような構成だからか、こちらが慣れてしまったからか。すらすら読めるのはいいんだけど、地の文で説明しすぎな気もしました。



あーあと、今回の緒方イラストは久しぶりに萌え絵っぽかったです。女の子を描くだけならここらへんくらいが好みなんだけど、まあいいや。

感想リンクとか

http://d.hatena.ne.jp/hilune/20060411/p1
http://d.hatena.ne.jp/kimagure/20060410/1144674474
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20060409/p2


話の進む速度が遅くなるというのは長期シリーズの宿命なのだけど、今回感想を見て回ってみて、そういうことに関してはもう読者に諦念めいたものが漂っているというか、良くも悪くも枯れてるなあ、と思いました。コバルトの某シリーズと比べると、初期から付き合ってる人が多いんだろうな。