七姫物語(3) 姫影交差/高野和/電撃文庫
季節は春。先の戦で七宮カセンの支配するところとなった四宮ツヅミ。しかし、古くからツヅミと同盟関係にあった三宮ナツメも黙ってはいられない。様々な思惑が交錯する中、両陣営が激突する日々は刻一刻と迫ってきていた……。
楽しいことはまだ続くよ。楽しくない世の中は潰した方がいいしね
序盤の山場、ターニングポイントの巻。話が大きく動き出しました。1、2巻はカラスミという少女の視点メインだったのが、今回はタイトル通り七姫全員が入れ替わり立ち替わり登場して、より群像劇らしく。ここら辺はあとがきでもwebのレビューでも触れられていたことで、カラスミ視点から世界を見た語りがなくなったことに不満を抱いてる人も多いようだけど、いや、これはこれでなかなか。特に終盤、カセンとナツメの争いに他の色んな勢力が雪崩れ込むように乱入してきて、すわ大乱戦か、といったところで満を持して登場する一宮シンセン、印象が強かったです。クロハ様、いいとこ取り。何かの漫画で、「いい男っていうのは自分の“出”を心得ているズルいやつのこと」(うろ覚え。BASTARDかなんかだったかな?)みたいな台詞があったけど、まさにそんな感じ。ただ、他の姫の出番を増やすにしても、事態が動いて、それに対する七姫のリアクションを描写して、事態が動いて、七姫のリアクションを描写して……を繰り返す構成は、ちょっとやり過ぎて単調になってたかも。その辺りのバランスは、次巻で修正してきてくれることを望みます。次巻……この3巻発売が去年の5月だったんで、今年も5月ぐらいには出ないかな。
しかし、あれですね、「三国志」と並行して読んでると、戦が起こる頻度のギャップに戸惑います。実際今回も、流血ほとんど描いてないし。そういうとこ、やっぱり戦記物というより政治……というか外交劇メインなのかな。それともまだ機が熟してないだけか。