B型H系(2)/さんりようこ

B型H系 2 (ヤングジャンプコミックス)


天下の集英社、しかもヤングジャンプというメジャー雑誌にしてこの帯のあおり。つうかこれだと表紙の女の子がツンデレみたいですね。いずれにせよこの作品の主人公をツンデレというのは結構抵抗があるのですが、それはとにかく。目標セフレ100人、モテ系美少女なんだけど実は男と付き合ったことがない、単なる耳年増。恋する女子高生はせつなくて彼を想うとすぐほにゃららしたりする主人公・山田が、平凡な同級生小須田を手頃な初体験の相手として決め落とそうするが、空回りしてうまくいかない。そんな4コマ漫画の新刊です。……なんかこう表現すると、男の妄想を絵に描いたような作品ですね。作者、女性ですけど。


この作品の新しいところって、そういうところなのかな。何のとりえもない平凡な男が学校のアイドルでツンデレ(あえてここではこういう言葉を使います)ヒロインに言い寄られ、かたや幼馴染で巨乳の眼鏡っ子が10年来の想いを寄せられ続けている。そんな、いかにも男子向けハーレム漫画っぽい話の主人公(読者の視点となるキャラクター)は、モテモテ男ではなく言い寄るツンデレヒロイン。読者は、主人公に感情移入して羨ましいと思うよりも、山田の空転っぷりを楽しみ、むしろ応援したいような気持ちになる。いや、勿論山田はバカ可愛いのだけど、性的な欲求の対象になるかどうかはまた別問題なわけです。


この2巻には、一時期作者が産休のため休載していた前後の分も収録されていて、ファンの間ではこの期間に作品の質が変わってしまった、と嘆く声もあります。確かに山田のキャラクターも、初期の事あるごとに小須田を押し倒そうとしていた頃に比べると、最近は普通に恋愛に不器用な女の子って感じで変化はみられるのですが、お馬鹿なところは変わってないし、エロネタも健在なので、そこはあまり心配しておりません。


むしろ、この漫画がどれくらい続くのかが不安です。一応、1巻の最初で高校入学した山田は2巻中盤、45話、連載開始からほぼ1年で2年生に進級していて、このままいくと4巻で高校生活3年間をやり終えてしまうのですが、その後をどうするつもりなんでしょうか。

  1. あずまんが大王コース:リアルの時間に合わせ作中のそれも経過。高校卒業と同時に連載も惜しまれつつ終了。一番ありそう。
  2. ももいろシスターズコース:時間経過の仕方は上と同じ。でも高校卒業しても終わらない。大学生編、社会人編、奥様編……人気が出たら連載継続。集英社だし。
  3. サザエさんコース:言わずと知れたサザエさん時空に突入。作中で山田と小須田の関係が遅々と、でも確実に進行してることを考えるとなさそう。
  4. スラムダンクコース:高校卒業までの時間を引き延ばし。1話につき1日分とか。10巻くらいまで出ます。


まあ、ももシスなんかと違って、この漫画は今のところ多少話が脇道に逸れることはあっても基本的には山田のお馬鹿を楽しむ作品なんで、そんな長期連載はマンネリを起こすのが目に見えてるんですが。……だからこその新キャラ投入か?


何人か、山田の声は浅野真澄で決まり!と断言してる人を見て、それ本人のキャラだけじゃないか!と思いました。