銀盤カレイドスコープ#8「マスコミ戦争」

タイトル通り。


この作品って、タズサの演技に感動した第三者がクローズアップされるようなエピソードがないんですよね*1。勿論観客のスタンディングオベイションなんかが記述されることはあるけれども、それ以上のものはない。「僕、明日の試合で○○選手がホームランを打ったら手術を受けられる勇気が出ると思うんだ」的な話がない。コーチや妹、メガネの同級生は身内だし、三代監督や新田記者は仕事として彼女を見ている。ピートは言わずもがな。


そんな性格が如実に出ているのが、今回のエピソード。そもそもタズサというキャラクターの新しいところって、リンク外の誹謗中傷なんか一顧だにせず、ただ競技でのみ周囲を認めさせる、といったようなところが皆無で、売られた喧嘩は基本的に買うところだと思うんですよ。なるほど実力で結果は出しはするけれども、観客を感動させるなんてことは頭にない。だからかどうかは知らないけれど、物語的には会心の出来だった前回の演技を見ても、マスコミが今までの態度を悔いて改心するなんてことはない。原作1巻のテーマである「石膏仮面を治し笑顔を見せる」のだって審査員たちの度肝を抜く、見返すための「表現」であって、彼らを喜ばせようとしているのではない。


競技はまず自分(と身近な周囲の人間)のためのものであって、見る人を感動させるというのは副次的な産物でしかない。そんな主人公、タズサが周囲と衝突しながら栄光の座を駆け上っていく……というのがこの作品の肝だと思うんですが、アニメはそこらへんちょっと薄いですね。コメディ面は面白いんで、願わくばそっちメインでいってほしいもの。


ちょうどまいじゃー推進委員会でそこらへんに関連した台詞が紹介されてます。

*1:ちなみに、原作は2巻までしか読んでいません