夏への扉/ ロバート・A・ハインライン 福島正実訳/ハヤカワ文庫SF

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))


あの頃読み逃してた名作をシリーズ。なんか時間ものSFの古典ばかり続いてる気がしますが、偶然です。


友に、婚約者に裏切られ、仕事もなくした技術者が、飼い猫のピートとコールドスリープに入る、というお話。一部では冗談交じりにロリコン小説だいや猫小説だと言われてますが、どっちかというと技術者の悲哀を描いたって印象の方が強かったなあ。会社の利益とか、経済倫理とか、外交姿勢とか、そういう障害にぶつかってもめげずに、ひたすらよりよい人間生活のための発明を続ける主人公。それこそ未来に行っても過去に戻ってもそういう姿勢を崩さない主人公には頭が下がります。

そして未来は、いずれにしろ過去にまさる。誰がなんといおうと、世界は日に日に良くなりつつあるのだ。人間精神が、その環境に順応して徐々に環境に働きかけ、両手で、器械で、かんで、科学と技術で、よりよい世界を築いてゆくのだ。
世の中には、いたずらに過去を懐かしがるスノッブどもがいる。そんな連中は、釘ひとつ打てないし、計算尺ひとつ使えない。ぼくは、できれば、連中を、トゥィッチェル博士のタイムマシンのテスト台にほうりこんで、十二世紀あたりへぶっとばしてやるといいと思う。

ていうか、科学礼賛?