わたしたちの田村くん/竹宮ゆゆこ/電撃文庫

わたしたちの田村くん (電撃文庫)


おー、新人で久々に当たり引いたよ。中学生最後の夏ということで、主人公、田村くんのクラスではカップルが急増していた。ここで頑張らねば、一生非モテの側で終わってしまう……!と焦る田村くんの目についたのは、進路希望調査票に「故郷の星に帰る」と書くようなクラスメイト、松澤小巻だった……というのが1話。受験直前のバレンタインデー、田村くんの部屋の窓に石とチョコを投げつけた相馬広香に無事入学できた高校で再会する……というのが2話。


文章の中に時々散りばめられるネタとか、エロゲー風のリーダビリティーが高い文章をうまく小説にしたなあとか、「ツンドラ」とか、褒めるべきところは幾つか挙げられるんだけど、私が特に興味を持ったのは主人公の性格。馬鹿っぽくて、おどけてるようにも見えるけど、やる時にはやる。なんとなく、昔のエロゲーの主人公みたいなイメージ。多分、主人公の性格が受け入れられるかどうか=この小説を楽しめるかどうか。これは個人的な感想なんだけど、ギャグやってる時のノリがクロスチャンネルの主人公に似てるなー、と思った。なんか色々違う気もするけど、合ってなくもない筈。で、ちょっと調べてみたらこの人、元FlyingShineシナリオライターなのね。とすると、田中ロミオと関係があってもおかしくない……?ってそこまでいくと妄想の域ですが。でも、あそこら辺のノリが好きな人はわりとすんなりいけると思います。田中ロミオラノベ書かないかね。


20P程度の書き下ろし「高浦さんちの家族計画」は……まあ、別にこういうのもアリじゃないかとは思うけど、でも少々やっつけ仕事かなあ。この倍くらいのボリュームは欲しい。それと、エロゲー風の文章って書きましたが、どうしてもそこに違和感を感じる人はいると思う。別に物語を楽しむ上で障害となるようなものではないんだけど、どうしてもメッセージウィンドウの枠に収まってる文章と紙の上に印刷されてる文章の違いというか、そんなものがあるようなないような。