閉鎖のシステム/秋田禎信/富士見ミステリー文庫
シャンク!2巻が出てから約半年。切れかけてきていた秋田節を補充すべく再読。閉店後、停電により明かりが消えた大規模ショッピングモール。完全な暗闇の中、蠢く殺人鬼と偶然居残っていたために彼から逃げ回る羽目になる人たちの話。
ミステリー……どころか、ある意味小説ですらない気がします。秋田禎信ポエム集。もしくは脚本演出:秋田禎信の不条理舞台劇シナリオ。好き嫌いは、すなわちこの人の文章が許容できるかどうか。シャンク!の含有する秋田節総量がレモン1個分だとしたらオーフェン西部編は5個、これは50個分ぐらい。要は信者御用達の作品で、その魅力を語ることは信仰を告白するみたいなもんなので、しません。できません。
自然と読んだ人向けの感想になってしまうんですけど、エンハウと閉鎖のテーマって「真っ暗闇の中で自分の存在を人に伝えるか」「真っ暗闇の中でどうやって他人の存在を認識するか」みたいなところで類似してると思うんですよ。エンハウの方がより観念的ですけど。「言葉は語るためのものでなく、伝えるためのものである」というエンハウ終盤の台詞も、どことなく撞久屋市論悟に聞かせたい台詞ではある。いかがでしょう?
あ、不評だった黒星紅白のイラストですけど、私は結構好きですよ。元々黒星絵が好きというのもあるけど。猫耳でもいいじゃない。腰にアンテナがついててもいいじゃない。
追記。
274 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2005/06/01(水) 09:21:28 id:yUC1N4ra
ちょい調べてみたが、富士ミスで日販入りしたことあるのは、・レンテンローズ
・閉鎖のシステム
・しずるさんと偏屈な死者たちの三冊だけっぽい。ブランド初期の大物作家招聘作品ばかりですな。
で、GOSICKだけど、とりあえず4巻の売り上げはギリギリ紀伊国屋にひっかかるレベル(97位)なので、
日販常連と言うのはいくらなんでも無理があるような・・・
まあ、ランクにすら入れないSDの新人作家たちよりは売れてるだろうが。
ちょっと裏づけ取る時間ないから分かんないけど、ある意味売れちゃったってのがこの作品最大の不幸。まああの頃は売上げ的には最盛期だろうししょうがないんだろうけど。