リリアとトレイズⅡ そして二人は旅行に行った(下)/時雨沢恵一/電撃文庫
えーと、つまりリリアはトレイズの大胸筋にときめいてしまったと、そういうわけでしょうか。
2ヶ月経て下巻発売。夏休み、旅行先で事件に巻き込まれたリリアとトレイズ。ひとまず第一の事件は切り抜け、森の中であった親切な人に宿までの足である飛空艇で孤児院の子供達と同行することになる。そこでまた、新たな事件に巻き込まれてしまう……。
うーん、1巻と比べれば盛り上がったとは言えまだまだ食い足りない。上巻の序章も下巻の短編二つもなくしちゃえば400P。これなら1冊にまとめた方がよかったなー。やっぱり商業的な理由なんだろうか。「遺書」とかは気に入ってたんで、あのまま電撃hpのみ収録ということにならなくてよかったけどさ。見所はやはりアリソンの登場シーン。いやあ、爽快爽快。結果的に親世代に子世代が食われてしまったってのは、多分作者も意識してやってるとは思うんだけど、にしてももうちょっとどうにかならなかったのかなあとは思った。まあ引き立て役なら引き立て役でいいんだけど。
んで、上巻を読んだ時、私は基本的に路線は「アリソン」と変わっていませんと言ったんですが、どうも微妙にズラしてきているみたいですね。「キノ」にあったシニカル気味な視点を混ぜてきてる感じ。これが邪魔して、この巻はどうにも乗り切れなかったというのはあるんだけど、これからもシリーズを続けていくというのなら、ちょっと面白くなってくるかもしれない。トラヴァス大佐とトレイズの確執。それを知った時のリリアの反応、とか。アリソンは全部知ってて、受け入れてるんだろうけどね。思えば「アリソン」1巻の頃から、あの人そういう目的のためには躊躇しない、みたいな覚悟は決めてたし。当初の予想とは違った意味で楽しみなシリーズとなりました。