モンテ・クリスト伯(5)/アレクサンドル・デュマ 新庄嘉章訳/講談社文庫

モンテ=クリスト伯 5 (講談社文庫 て 3-5)


最終巻。父を侮辱されたことで伯爵に決闘を挑むアルベール。決闘前日、伯爵の屋敷をメルセデスが訪れて、息子を殺さないでほしいと懇願する。その過程で、メルセデスはとうとう伯爵の正体に気付いてしまうが……。一方、ダングラール家ではアルベールとの婚約を破談にされたユージェニーとカバルカンティの結婚式が迫っていた。ユージェニーは父親に、結婚の署名はするがそれ以外は何をしようと自分の自由だ、ということを確約させるた上で、友人のルイーズ・ダルミイー嬢と一緒に逃亡する計画を練る。そして、ヴィルフォール家ではとうとうヴァランティーヌに毒牙がかかろうとしていた……。


あーなんとか5月中に読み終わった。1巻読んでから丸2ヶ月。もうちょっと早いペースでいきたかったなー。


4巻の、伯爵が復讐に向かって一直線だった頃と比べればテンションは少々落ちた。お膳立てが終わった状態で復讐の筋自体はあらかた出来てるんで、ちょっと事後処理という感じが否めない。アニメの方でも、決闘の話辺りからなんかおかしくなってきたってのは私も、多くの人も主張するところではあるんだけど、それは原作から決まってたのかも。別に嫌いではないけど、どうしても好きにもなれないマクシミリアンとその周囲が、伯爵が唯一心を許してる人たちってことで最後まで話に関わってきたのもいまいち盛り上がれなかった一因。予想外に気を吐いてくれたのは、ユージェニー。父親が勝手に決めた結婚に対しても怯むことなく理路整然と反論し、わが道を行く強さは、アニメであまり見られないものでした。しかし、アルベールとメルセデス、パパンに対して冷たすぎるよ。弁解の機会も与えられないフェルナン、哀れ。


劇作家だからか知らないけど、登場人物の仰々しい言い回しがすげえ好みでした。話の方は、あんましピカレスクな感じはしなかった。むしろ直球。これから入る人は、多分原作⇒アニメの方がいいっすよ。


あとは、ハヤカワから出てるアルフレッド・ベスター「虎よ!虎よ!」ってのを読んでみたい。「モンテ・クリスト伯」を元に舞台を宇宙に移したSF小説で、アニメの方は元々こっちを原案にしてたらしい。アニメイト始めオタ書店も、MF文庫J版だけじゃなくてこっちとか原作版とか置いてくれればいいのに。