七姫物語/高野和/電撃文庫

七姫物語 (電撃文庫)


第9回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞。七つの都市がそれぞれ先王の娘を自称する姫を擁立し、争っていた時代。その一人で、軍師トエと将軍テンに担ぎ出された少女の視点から戦乱を見ていくお話。


一つの文章が終わると必ず改行するという形式を取っているのですが、文章量は少ないながら言葉の選び方がうまくて、和風ファンタジー的な世界の雰囲気がよく出ていると思います。行間を読むとでも言うのかね。読者が想像を膨らませるようにうまく誘導してる感じ。こういう雰囲気は好きです。その一方、戦争や政治については描写不足。これは、12歳の女の子の一人称で、彼女を通してしかストーリーは語られないんだし、あくまで主軸は彼女の成長にあるんだから、ということを考慮しても、どこがどうなってこうなるのか、と戸惑うところが幾つかあった。こっちが全貌を把握しない内から話が展開し、そして不透明なまま終わってく。あとがき読むと作者は随分前からこの話を練ってたようだけど、こっちとしてはちょっと置いてきぼり食らった感はある。
でもまあ、そんな文句つけるほどではないし、雰囲気は好きなので次も読んでみます。まだ話としては序章だしね。


・他の人の感想
http://d.hatena.ne.jp/kaien/00000117
http://d.hatena.ne.jp/herecy8/20030511#p2