ディバイデッド・フロントⅡ 僕らが戦う、その理由/高瀬彼方/角川スニーカー文庫

ディバイデッド・フロント〈2〉僕らが戦う、その理由 (角川スニーカー文庫)


一般社会から隔離された環境で、絶望に抗いながら化け物と戦い続ける少年少女の話、2巻目。今回は、自衛隊のPR用ビデオ撮影を仕事としながらそこに映し出される作り物の状況と現場とのギャップに悩む広報担当者と、ギャップに苦しみながらもそれを受け入れる主人公たちの確執。


アクションよりは心理描写メインでした。場面場面で読者の視点となるキャラを変える手法が、個人個人の考えの相違を浮き彫りにするのに役立ってます。例えば、今回出てきた進藤未来というキャラは、外からは悪気なく人のタブーに踏み込む、空気が読めない人として認識されているんだけど、本人はそれを自覚しながらやってるつもりで、でもやっぱりどこか勘違いしてるところがある、というような。他にも、本人としては現場の立場を分かってるつもりで、やっぱり分かってないところとか。最終的に彼女は自分の非を認めたわけだけど、それが地の文というか第3者=作者視点で肯定されてないのが、判断を読者に委ねてる感じ。最近、作者に保護されてるキャラってのがどうも鼻につくようになってきたので、こういう書き方は好きです。


一方、1巻で気になってた宮沢香奈というキャラの語りは今回更に違和感が強まりました。別にうじうじ悩むキャラは嫌いじゃないんですよ。むしろ悩みを見せないキャラよりはずっといい。ただ、独白の形式を取った地の文がですます調ってのはなぁ……緊迫感がないことおびただしい。というか普段頭の中で思考してる時までですます調なのかと言いたくなる。それと、ああいう内気キャラのからかわれる様子なり妄想する様子なりを一人称で、地の文で延々と読まされるのはちょっとうざかったです。