GOSICK Ⅳ-ゴシック・愚者を代弁せよ-/桜庭一樹/富士見ミステリー文庫

GOSICK (4) ゴシック・愚者を代弁せよ (富士見ミステリー文庫)


現時点での最新刊。今回は、なんといってもヴィクトリカと立場上どうしても影の薄かったアブリルの初顔合わせ。三角関係、恋の鞘当て。まだ3人とも子供だし、自分の気持ちをあまり表に出していないこともあってそこまで直接的な表現はありませんが、今後の展開を予感させます。あーベタベタな筈なのにそんなにあざとい気がしないのは、雰囲気作りがうまいからなんだろうな。なんとも微笑ましい。そういや、最近私がよく例えに出す「必殺お探し人」も三角関係でした。あっちは男2に女1だったし、年齢も更に低かったけれど。


前回、前々回と本編中で進行する事件とその謎解きは凄い微妙だったんだけど、今回は結構楽しめました。といってもそんな驚嘆するようなトリックとかが駆使されてるわけでもなく、「あーこういう方向で絡めてきたかー」という感じ。


そして、これまで物語の背景(?)で進行しつつあったソヴュール王国、聖マルグリット学園、灰色狼、そしてヴィクトリカの出生の秘密などが絡んでいき、いよいよ話は佳境へ。一応このシリーズは第一次世界大戦から10年後のヨーロッパの「とある小国」を舞台としていて、登場人物と一次大戦の繋がりも何度か示唆されているのですが、何かまた歴史上の大きな出来事が立ち塞がっていくんだろうか。第二次大戦までは少々時間がありますけど、この巻の錬金術がどうしたとか、ホムンクルスがどうしたといったオカルティックな面を見ると、そこまでいけばヒトラーとか出てきてもおかしくはなさそうな雰囲気ではある。