ミナミノミナミノ/秋山瑞人/電撃文庫

ミナミノミナミノ (電撃文庫)
瑞っ子待望の新作は犬の話でも便所の話でもなく、蟹の話。ていうかネオランガ?EGFに関しては、3巻目を読み終わったのがつい最近だし、夏を待つろくご信者ほど乾いてないのでいいですけどねー。
今回「またイリヤか」という声をよく聞きます。実際作者があとがきでそんなことは言ってるんだけど……そうかなー?似てるのってボーイミーツガールで夏で南の島で、くらいじゃん。主人公とヒロインのパーソナリティも、そんな前作に被るとは思わなかったんだけど……いや、まあ同じ題材を同じ作者が書けばそりゃ出てくる物は一緒に見えるか。同じ題材で同じ1巻目の筈なのにイリヤに比べて淡々としてるのは、水前寺みたいな話を引っ張るキャラがいないせいかも。
お得意の勢いのある文章に関しては、今回見せ場があまりないこともあって控え目?この人の何が好きって、(うまいかどうかは各人の判断に任せるにしても)疾走感のある文章が凄い好きで、それがあれば話がどうでもわりかし許容できるんですが、逆にそれがないとあまり楽しめないかも。ラストはパニックものっぽい雰囲気でそれなりに盛り上がりましたが。そういや、名前の最初に同じ「秋」がつくあの人に関しても惚れこんでるのは文章だなー。
ローカルな世界のディティールというか、生活観を表現するのがうまいのもこの人の評価できるところ。軍隊の一小隊とか、全島民合わせても1000人いなさそうな離れ島とか、それぐらいの規模の。創作物に軽々しくリアルなんて言葉は使いたくないんだけど、うん、こういう生活臭するお話は好き。
あと、この人小学生が好きそうな下ネタ好きだよね。たるるーとくんとかおぼっちゃまくんとか、その辺の。「なあ、姉子先生にちんぽ握られたか!?」「時間延長してくれって頼んだら断られました」。……嫌いじゃないぜ、こういうの?下ネタは世界を平和にする。もう一つ、今回耳に残ったフレーズは「やばいぜよ正兄ぃ!左吏部の鉄砲玉はもうそこまできちょるぜよ!」。