塩の街 wish on my precious/有川浩/電撃文庫

塩の街―wish on my precious (電撃文庫)
ハードカバーで出した「空の中」がなかなか好評のようなので手を出してみましたよ。
第10回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作。あー、連作短編形式で行くのかな?これは良作っぽいぞ……と1章、2章で期待してたら後半行くに従って段々ボロが。ラノベとして見てもなんでここがこうなるの?という強引な展開が続出。軍閥化が嫌だから米軍基地を襲うとか。富士見でもなんでも、「大賞」と名のつくものは良く言えば完成度の高い、悪く言えば小さくまとまってる作品に与えられるものだと思うんだけど、これは決して完成度高いとは言えないよなあ……最大の問題は、主人公の「世界より恋人を取る」という理想に敵がいないことか。作者的にはそのつもりで投入したんだろう入江も最後までキレっぷりが足りない。
逆によかったのは主人公が家を出ていくまでの経緯とか。どうも話が大きくなるにつれてぞんざいになってく印象が。前半のノリのまんまの方が良かったと思います。