砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop & A Bullet/桜庭一樹/富士見ミステリー文庫

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)
こういうのを読むと、自分がラノベエロゲーの文法に慣れきってることがよく分かる。序盤から主人公その他にとっては全く不可解なもので戯言として受け止められてても、キャラがファンタジーで思わせぶりな言動を繰り返してたら、何らかの伏線と思うじゃないですか。でも、この話では戯言はあくまで戯言で、最後までそれが覆らない。ファンタジーな存在であることを望んだ女の子は、最後までただの狼少年ならぬ狼少女として扱われる。終盤に入った辺りから必然として訪れる破滅に薄々と気付いてはいくんだけど、必死で救いがある展開を求めてる自分がいる。


そんな感じで、このお話はズバリ救いのないお話です。「君のぞ」のように長々と重い展開が続くわけじゃないので読んでる間はそんなに辛くないですが、読後感は決していいものではないかと。「推定少女」が好きならこれも、という意見もあるけどあれと同じ路線を歩みつつ逆ベクトルのお話、というのが正しいと思います。なんというか、「推定少女」でオブラートに包まれてたものが剥き出しになったような、そんな印象。それと、私はこの人の書く女の子同士のやり取りってのが凄いふわふわしてて可愛らしくて好きなんだけど、同時にそういう世界観をあっさり壊してしまえる辺りも凄い理解不能で惹かれるとこがありました。


イラストに関しては、実弾じゃなくて砂糖菓子の弾丸ということで、あれはあれで合ってると思います。


男性読者の視点を想定して地の文を書くと地の文のひとにおっさん視点が妙な混じり方をする人
http://d.hatena.ne.jp/stupa/20041113
あーそれは「赤×ピンク」で強く感じました。最初はそれが鼻についたけど、最近は
男声読者を意識してるっていうよりあれがあの人の地なんだろうなあ、という気もします。