熱死戦線ビットウォーズ/葛西伸哉/富士見ファンタジア文庫

熱死戦線ビットウォーズ (富士見ファンタジア文庫)


第3回富士見ファンタジア長編小説大賞佳作受賞者のデビュー第1作。なんか紛らわしい書き方ですが、要はこれが賞を取ったわけではない、ということ。秋田禎信と同じ世代ですな。


タイトルだけ見てギャグだと思ったら、意外とシリアスな話でした。最早説明なしに使われがちな超能力というものを、理論立てて説明している理系SF(いやSFは須らく理系だろうけど)ラノベエントロピー増大とか、物質とエネルギーの変換を表すアインシュタインの公式とか、ラプラスの悪魔とか、人間定理とか。偏見として、ラノベでは資料集めが軽視されがちってのがあるんだけど、これはちゃんと色々調べてて好感を持てます。その理論が合ってるかどうかはこの際あんまり関係ない。ただキャラとか実際の戦闘描写とか、そういう面白さに結びついているかというと……
余談。イラストは小野敏洋こと上連雀三平先生。大してエロくもないしふたなってもいないのは残念。