エンジェルハウリング(9)握る小指-from the aspect of MIZU/秋田禎信/富士見ファンタジア文庫

エンジェル・ハウリング〈9〉握る小指―from the aspect of MIZU (富士見ファンタジア文庫)


ミズー編最終巻。フリウ編最終巻の10巻は10月発売。


このシリーズは開始当初から地の文、台詞共にファンには「秋田節」と呼ばれるやたら抽象的で分かりにくい文章が多く、そこが信者以外の人にはとっつきにくかったと思うんだけど、最終巻ではそれらの意味が分かるようになってるのには感心した。特に、ミズーはあらゆる殺害を可能にするためあらゆる距離を覚えた、というのは1巻から何度も言及されてるんだけど、唯一人を好きになる距離だけを忘れていた、というくだりは凄い好き。こう書くとすごいクサいんだけど、それまでの状況がかなり殺伐としてるからなあ。結局作者はストレートにクサい表現を使いたくないために回りくどい表現をしてるんだと思う。まあまだ解決してないこともあるんだけど、そっちは10巻に持ち越し、ということで。


不満があるとすれば、最終ステージのイムァシアをもうちょっと描写してほしかったなあ、と。オーフェン最終巻と違って急いでる気はしなかったけど、逆に犬回しの話とか入れる必要があったのかなあ。運命だなんだ言ってるところに泥臭い話を挿入して、盛り上がりに水を差してるような。まあその泥臭さが魅力の一つではあるんだけど。


あああ、なんか色々書いてたら読み返したくなってきた。
10月までに読み返そうかなあ……