IN☆POCKETの『カナスピカ』秋田禎信インタビュー

IN☆POCKET 07ー5

IN☆POCKET 07ー5

  • 何年か前から、ジュニア文庫、いわゆる「ライトノベル」だけで創作を続けることに危機感を感じていました。そのひとつが、時間的拘束です。あるシリーズを立ち上げると刊行スケジュールが定まるばかりか、そこにあわせて物語を展開する必要が出ます。しかも、最低でもニ、三年はシリーズ完結までかかりきりになる。徐々に、自分自身のやれることに限界を感じていました。
    • 「最低でもニ、三年」一つのシリーズに専念できる作家って、どれくらいいるんだろうなあ、とかちょっと意地悪なことを考えた。レーベルの人気も、実績もあんまりない人だと売上げが芳しくない場合その前に打ち切りじゃないかなあ、とか。まー、読者の目に見える「そのシリーズが展開している期間」と作家がその仕事をするのに必要な期間って、また全然違ってくるのかもしれないけど。
  • ここ数年はライトノベルから多少距離を置いて、様々な可能性を模索してきました。小説以外のメディアも視野に入れて企画書やプロットを書き続け、ようやく形になったのが今回の『カナスピカ』でした。
    • きゆづきさとこ原作『パノ』のノベライズも、あるいはその一環ですかねえ。今は止まってるけど。
    • 秋田スレでは一時期、ゲームのシナリオ作ってるんじゃないか、なんて噂もしてたな。
  • 僕は物語を作る際、まず「世界観」があって、それから「設定」を作っていきます。世界観とは、登場人物や主人公がどのように自らの周囲の世界を捉えているのかということ、設定はあくまで物語を作る材料です。『カナスピカ』の場合は、「中学生なりの現実感」という世界観があって、そこから「現代の日本」や「喋る人工衛星」など、様々な設定が生まれました。
    • 「世界観」という言葉について
    • 卵が先か鶏が先か、みたいな話だけど、ここらへんはすごい納得。『オーフェン』『エンハウ』『シャンク』、どれ取ってもそうだけど、自他ともに認める設定魔でありながら、世界設定が主役にならないんだよなー。こっちはあの世界にまだ浸ってたいと思っても、あっさり終わらせちゃう。あの世界設定に魅せられた人間としては勿体ないなーとも思っちゃうんですけど、その潔さが頼もしくもあり。